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Cashmere カシミア

カシミアは誰もが知っているであろう最高級の天然繊維。 偶蹄目 / ウシ科 / ヤギ属のカシミア種であるカシミアヤギから採毛されたものを指す。 主に中国・内モンゴル自治区、ウイグル自治区、チベット自治区などの辺境部で飼育されている。 これらの地区は寒暖差の激しい地域で、その厳しい気候に適合するために、カシミアヤギは身体の表面を粗く強い毛で覆い、その下 には柔らかな産毛を密生させている。その産毛を、「整毛」と呼ばれる加工で取り出して紡績。糸となったものを衣料用に使用している。1 頭あたりの採取可能な量は 150 ~ 200 グラムのみといわれ、その生産量の少なさも最高級原料と呼ばれる理由の一つ。毛質は非常に繊細で軽く温かい。肌触りはいうまでもなく素晴らしく、さらに上品な光沢感をも併せ持つことから、「繊維の宝石」と呼ばれる。カシミアを糸にする際は大きく分けて 2 つの製法があり、それぞれ、繊維の方向を揃えた細い糸を梳毛 ( そもう) 糸、繊維の方向を揃えない太い糸を紡毛( ぼうもう) 糸と呼んでいる。梳毛糸は毛羽立ちが少なく滑らかで光沢があり、スーツやハイゲージニットに使われる糸。一方、紡毛糸は緩く撚りをかけることで、素朴な雰囲気で暖かさやふくらみ、ぬくもり 感が出る糸で、コートやローゲージニットにとても合う。紡毛は糸の工業化の原点でもあった。これまでカシミアは繊維がと ても短いことから、梳毛式紡績が難しく、紡毛式紡績が一般的とされていた。しかし時代と共に技術は発展し、カシミアのよ うな繊維が短くて極細の毛でも、梳毛式紡績ができるようになってきた。世の中にはカシミア梳毛糸でできたスーツ、コート、ハイゲージニットも流通し始めた。だが 991 としては、カシミア本来の柔らかさやふくらみ感を引き出すのであれば、やはり紡毛が最適なのではと考えていた。と同時に、その糸でエレガントでドレッシーなスーパーハイゲージニットを作りたい、と いう希望も持ち続けていた。一見矛盾しているような紡毛とエレガントの両立。それはあるイタリア人の力によって実現した。 18 ゲージという、スーパーハイゲージのとても細く繊細な糸なのに、紡毛の魅力であるふくらみと柔らかさを持つカシミア糸が完成。二つの理想を手に入れた 991 は、その糸を使った究極のスーパーハイゲージニットに着手する。